勝手に自由研究

 UVコーティングの検証

(0)ぷろろーぐ
 それは、春スキーの最中だった。韓国(釜山)で購入したゴーグルもどきを自慢気に装着している私に、仲間の一人が素朴な質問を投げ掛けた。
 「それって、紫外線は大丈夫なの?」
 しばし、沈黙が続く。本企画は、これを発端に立案された。

(1)目的
 スキーに使用してる眼鏡類が、本当に紫外線をカットしているかを確認する。

(2)装置
 ・紫外線の検出には、秋月電子通商(http://www.akizuki.ne.jp)の「デジタルUV〔紫外線量)計キット」を使用。 (ちなみに値段は2700円でした。)
 ・紫外線発生装置: 手近に使える「太陽」を使用。

(3)方法
 太陽光の元、素通しの場合と、フィルター(眼鏡,ゴーグル等)をかけた場合の数値を比較する。

(4)試料
 下の写真に示す。前書きの眼鏡の他、その辺の物をかき集めて計測した。 
 試料No.1
 韓国製の眼鏡
 試料No.2
 日本で買った色つき眼鏡
 (度付き眼鏡を染めたもので、サングラスとして使用中)
基準の眼鏡  試料No.3
 日本で買った眼鏡
 (これが基準になります。)
 試料No.4
 パソコンモニタ用の眼鏡
 NIKKO Office Glasses

 OA機器ディスプレイ操作用保護眼鏡
 有害な紫外線を100%シャットアウトするとうたっている
 試料No.5
 100円Shop(ダイソー) で買ったサングラス
 紫外線透過率1.0%以下と表示されている。
 試料No.6
 問題の、韓国で買った度付きのゴーグルもどき
 奥から 度付レンズ,ミラーレンズ,イエローレンズ
 試料No.7
 ゴーグル1(カレラ)
 〔イエローレンズ)
 試料No.8
 ゴーグル2(キラーループ)
 ブラウンのレンズ装着
 附属のレンズはイエロー
 試料No.9
 ケンコー スカイライトフィルター

 L37 SUPER PRO(W)
 試料No.10
 キヤノン 視度補正レンズ
 左からF-1用ー2, 0 及びA-1用0
 写真準備中  試料No.11
 韓国製の眼鏡用レンズ
 (試料1,6と同じ店で購入した。尚、高いのと安いのがあったが、高い方を購入)
 試料No.12
 CDのケース
 (透明部分を計測)
 試料No.13
 戸棚のガラス

(5)結果

N0.

試料名

試料詳細

測定値

基準

透過率(%)

備考

1
韓国眼鏡

右レンズ
左レンズ

0.70
0.70

2.68
2.68

26.1
26.1
4000円

2
日本製色つき眼鏡
 (サングラスとして使用)

右レンズ
左レンズ

0.13
0.18

2.10
2.10

6.2
8.6
レンズを染めた度付眼鏡

3
日本製眼鏡

右レンズ
左レンズ

0.82
0.85

2.62
2.62

31.3
32.4
基準(対照)品

4
パソコンモニタ用の眼鏡

片レンズのみ

0.00

2.18

0.0
ニッコー V.D.T.用

5
100円Shopの
 サングラス〔ダイソー)

片レンズのみ

0.00

2.19

0.0
UV400紫外線カット

6
韓国製 度付きの
 ゴーグルもどき

右レンズ
左レンズ
ミラー レンズ
イエロー レンズ

1.70
0.60
0.00
0.00

2.33
2.32
2.34
2.10

73.0
25.9
0.0
0.0
18000円

7
ゴーグル1(カレラ) (イエロー)

0.00

2.20

0.0
6年前に購入

8
ゴーグル2(キラーループ)

ブラウン レンズ
イエロー レンズ

0.00
0.00

2.62
2.60

0.0
昨年購入

カメラ用フィルター L37 SUPER PRO

0.99

2.58

38.4
ケンコー スカイライト

10
キヤノン
 視度補正レンズ
 F-1 用 -2
 同上   0
 A-1用  0

2.07
1.90
2.18

2.57
2.60
2.58

80.5
73.1
84.5
中古で買うと高いぞー

11
眼鏡用レンズ (韓国製の高い方)

1.18

2.55

46.3
薄め(高価)の方

12
CDのケース

1.68

2.57

65.4
透明部分を測定

13
戸棚のガラス

1.90

2.44

77.9
厚さ約2.8mm

 ・測定は、下からの反射光を受けないように、下に黒い布を敷き、試料はセンサーになるべく密着するようにして測定した。上表における「測定値」が、その値である。
 ・光源は、5月の晴天時の13時頃の直射日光を使用した。表では「基準値」として示している。太陽の紫外線放射量は、思ったより安定していないので、試料ごとに測定し直している。 尚、校正装置が無いため、この数値には特に単位は無い。
 ・透過率 (%)= 測定値 ÷ 基準値 × 100   として判定した。 勿論、数値が小さいほど GOOD !!

(6)結論
 
・私が使っているスキー用具は、みんなUVコートされていた。

(7)考察
 結果には、殆どのデーターをまとめて記載しちゃったので、見にくかったかな? そこで、下表にポイントだけ凝縮してみました。

項 目

品 目

透過率(%)

n

韓国製品

韓国の眼鏡レンズ

25.9〜73.0

5

減光用のレンズ

0

2

スキー用品

ゴーグル

0

3

UV対策品

VDT眼鏡

0

1

100円サングラス

0

1

おまけ

戸棚のガラス

77.9

1

対照品

日本の眼鏡

26.1

2

 
・ゴーグルのレンズやVDT眼鏡,100円サングラスなど、紫外線の多い場所で使われるであろうレンズは、例外なく紫外線を通さない。(検出不能) 一方、ただの眼鏡については、若干は通過させている様である。
 ・韓国製の度付きレンズも、UVコート処理はされている。(No.1の様に日本製に勝さるとも劣らない物がある一方、No.6の右レンズやNo.11の様に、その効果が劣るものも混じっている。コーティングに「バラつき」があるのかもしれない。しかし、品質が不安定?とすると No.6の色つきレンズには、その兆候がないんだよなあ。) 
 ・ただのガラスでさえ、2割もの紫外線を除去している。これって凄いと思わない?

(8)参考
 ・測定装置の特性 及び 外観 
測定器  秋月電子 「紫外線計」 キット センサーの感度特性

測定装置

センサーの感度特性

 ・紫外線に関する基礎知識
 紫外線はその波長により、A波(320〜400nm),B波(280〜320nm),C波(280nm以下)の3波に分けられます。このうち一番波長の短いC波 および、B波 の一部はオゾン層に吸収されて地表まで届きません。(下図参照) 皮膚への影響は、波長が短いほど強くなります。ですから、オゾン層が如何に大切な役割をしているか解りますね。
 さて、このA,B波が皮膚へ与える影響ですが、B波は、日焼けの主な原因となり、A波は、しわやたるみの原因(皮膚の奥まで届き日焼けよりむしろ肌の弾力を保ってる組織に影響を与える)となると言われています。
 ちなみに、日焼止め等に、SPF,PAなどの表示が有りますが、SPFは紫外線B波を防ぐ効果,PAはA波を防ぐ効果 を現しているそうです。
 おまけです。興味がありましたらどうぞ!→ 日焼け止めの効果を調べる

 地球を取り巻く光環境 
   太陽光の波長分布          (「光触媒のしくみ」 日本実業出版刊 より)

○ 蛇足
 問題となった韓国製眼鏡たちは、総費用14万の旅行の中で、それぞれ18000円,4000円をも占めてしまった買い物である。旅行当時の気分が、かなりHighになっていた事が容易に伺える。
 今回の実験結果で、スキー用品について問題なかった事は一安心。しかし、18000円の眼鏡もどきについては、暖かい日に装着すると、顔から出る汗でレンズが曇る。(寒い日には 恐くて 試していないが、こちらも余り期待は出来なさそう。)こぶ斜面で転べば付け根が割れる(構造は華奢)など、悲しきかな、実用性は今一歩なのでした。


○ 次回予告
 マッチョな彼もビックリ。お次は、Touch Bondじゃ!
 → TOUCH BOND 使って見い



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