●Scadule

 南浦洞  →  明倫洞   地下鉄  700W
 明倫洞  →  慶州    バス   3300W  
  (慶州観光)       タクシー 70000W(二人で)
 慶州   →  明倫洞   バス   3300W 
 明倫洞  →  西面市場  地下鉄  600W
 西面市場 →  南浦洞   地下鉄  700W

●明倫洞

 明倫洞までは、地下鉄ですぐである。また、バスターミナルは、駅からすぐである。ただし、「ターミナルの場所がわかれば」の話であるが。
  
 「明倫洞まで行けば、バス乗り場は解る」などと思っていると、ひどい目に遭う。少なくとも、駅から見える所には存在しない。我々は、上記の地図(観光案内所でもらったもの)を見つけたが、それでもしばらく探しまわった。

●慶州ターミナル

 その日、慶州は小雨だった。そのため、ターミナル周辺には、沢山の貸自転車屋があるのだが、選択肢に成らなかった。とりあえず、帰りの切符の確認をしている私に、一人の韓国人が話しかけてきた。(私は、よくよく、こういう「やから」に引っ掛かる運命なのか? 何かと、「カモ」にしようという人たちが寄ってくる。おかげで最近は、何事も、疑り深くなってしまった。)
 その人は、タクシーを使った慶州の観光案内の説明を始めた。有名どころ2カ所と、知らない所2カ所を示して、此処へ行くと良いと薦める。値段を聞くと、80000Wと返ってきた。私が驚くのを見て、韓国人は、直ぐに70000Wまで値段を下げた。それでも高いと思った私は、丁重に断りを入れた。すると突然、彼がその会話に割り込んでくる。彼は、そのタクシーに乗りたいというのだ。まあ、石仏を見る為には、他の交通手段の選択技は難しそうだし、これから慶州巡りの計画をたてるのも面倒くさくなってきたし、てな訳で、結局、私は、彼の意見に従った。(結果から言えば、そんなに悪くもない選択だったのだが。)
 観光内容や予定時刻について、再質問を始める私に、彼は、韓国人と一緒になって説明を始めた。どうやら彼は解っている様だ。(実は、全然解ってなかったのだが。)面倒くさくなったので、その後の交渉は彼に任せた。その後、その男は、我々をタクシーへ案内し、運転手を弟だと紹介した。

●桜並木

 石窟庵に続く道は、桜の木が連なっていた。運転手は、自慢気に
 「春は、ここのへん一面、桜で一杯です。」
 と、解説する。(ガイドブックによると、花朗路というらしい)
 運転手の運転は噂とは違い、やたらに丁寧であった。

●石窟庵

 新羅35代・景徳王時代の宰相・金大城が、751年に仏国寺の拡張工事を行った際、同時に建造した。 とのこと
  

 小雨の中、目的地に到着した。運転手は、おもむろにトランクを開けて、中の傘を貸してくれた。とても大きい傘で、〔見栄えは悪いが)具合は良かった。 

●仏国寺

 535年創建の古刹で、751年に新羅髄一の規模を誇る大寺院に生まれ変わった。だが、1952年の文禄の役の際に、木造建築が殆ど消失する。その後、再建されたが、規模は往時の10分の1になってしまった。   らしい
 

 寺に入ろうとすると、一人の女性が「無料で中を説明する」と、近寄って来た。(何やら運転手の知り合いの、土産物屋関係の人らしい。)説明を受けたい気もするが、後で面倒くさい状況に陥る可能性もあるので、お断りした。彼はといえば、彼女が私に近寄るのをみて、姿を消していた。

後日談
 帰国から2ヶ月位した後の事である。図書館にて、古い「地球の歩き方」を何気なく見ていた。すると、同じ場所で、同様の体験をされた読者からの投書があった。見学の後はやはり、彼女の親戚が経営する宝石屋に連れてかれたそうである。実害は余りなかったらしいが、つくづく、「断って良かった」と思った。

●窯元
 この新羅窯は、韓国で唯一なる新羅土器を再現(復元)するため開いた窯であって、ここは、新羅時代の窯元が発見された由緒深いところである。 そうだ..。

   柳孝雄先生

 ここも、運転手の知り合いの場所らしい。写真の先生が、直々に作陶の実演をしてくれた。案内の女性は、作陶に関する説明を終えると、売店へ案内し、さらに説明をした。しかし、彼が土産物を一つ購入するやいなや、きびすを返すように態度を変えて奥に引っ込み、他の店員と雑談を始めた。そして、それ以降彼女が我々の相手をすることはなかった。
 彼女の「ドライ」な態度には感心させられた。

●古墳公園

 古墳が集中している場所。1976年から、公園として開放しているらしい。

 運転手は、公園案内図を指さし、
「この道で、ここまでいって、ここを見て、直ぐに戻って来なさい。」
 といった。直ぐに戻る気など毛頭無かったが、解ったと返事をして中へ入った。彼も、解ったと言っていた。(恐らく私と同じ、カラ返事であろう。)二人とも、時間など全く気にしていなかった。
 彼は、退屈する私をしり目に、だらだらと歩いていた。だからといって、それを止めさせる気は毛頭なかった。なぜなら、彼は楽しんでいるからである。彼の歩き方は、私から見ると、「だらだらと面倒くさそうに歩いている」としか見えないのだが、彼にしてみると、「周囲の景色に感動し、楽しんで歩いている」スタイルなそうだ。昔、「疲れているのか?」とか、「退屈しているのか?」と(ちょっとだけ)心配した事もあるが、彼にそんな気を使う事は、全くの徒労なのだ。(ちなみにスピードにすると、彼の遅さは、私の半分に迫る。)
 公園を出ると、運転手が(いらいらしながら)待っていた。そして、日本語で、私に言った。
 「後の観光はどうするんですか?観光バスでも探しますか?」
 私は、何の事やら解らなかった。彼は、運転手が(くどいようですが、日本語で)何を言ったのかさえ解っていなかった。  車に乗ってしばらくすると、運転手はさらに、日本語で言った。
 「時間ですので、戻ります。」
 彼は、意味不明の言葉に悩んだのか、私に状況説明を求める。 仕方なく通訳した。
 「さっさと戻ってこなかったから、時間が無くなったんだとさ!」
 すると彼は、
「いやあ、景色に、見とれてしまいました。」
 と、(必要もないのに、)運転手に弁解していた。・・・・・・・

 運転手は、不機嫌そうに車をターミナルにつけた。そして、手にしていた携帯電話を助手席に投げつけた。(私が推測するに、次の客を、時間遅れで逃したのではないか?) それから運転手は、気をとりなおし、
 「ありがとうございました」
といい、彼から代金を受け取って去っていった。

 彼は、話が違うと愚痴りだした。私は、「おまえが交渉したんだろ」と言う言葉を飲み込んでいた。(実は私も、「時間については関係ない」と思っていたのだ。)
 詳しい契約内容については、把握していなかったので、「どちらが悪いのか」は、未だに謎である。けれど、傘を借りれたし、石仏も見れたので、んーまあ「良し」としよう。

●ターミナル付近

 小雨は止んでいた。観光が中途半端に終わってしまったので、時間はまだ早かった。しかし、ここから一番近い名所は、古墳公園の近くなのである。(運転手がここまで連れてきてくれた事が恨めしかった。)歩いて往復するには、遠く感じられた。しかし、今更自転車を借りるのもどうかと思った。
 このまま帰るのも嫌だったので、ターミナル周辺を散歩する。辺りには貸自転車屋が何件もあり、割と高級な自転車が並べられているのが目に付いた。もし、次回があれば、これを借りたいと思う。
 ターミナル内に戻ると人が群がっている。そこは、売店であり、人々は、「おでん?」の様なものを、おいしそうに食べている。で、多少迷ったが、買いに行った。値段が解らなかったので、1000W 札を出す。店員は、400Wのおつりをだし、指で2本と示した。つまりは、2本で600Wらしい。
 その「おでん」は、やたらにおいしかった。2本のおでんを食べながら、「うまい」「うまい」と叫んでいると、
 「韓国の屋台店なんて、危ないから食べない。」
 などと、のたまわっていた彼も、私から値段を聞くなり買いに走った。そして、嬉しそうに食べていた。私は調子に乗って、弁当がわりに「のり巻き」も購入した。こちらは、さほど、おいしくなかったのが残念だった。

 待合所で次のバスを待っていると、先程の兄弟(運転手と交渉人)が近くを通った。私が「にたあ」と笑いかけると、バツを悪そうにしながら、無関心を装って向こうへ消えていった。

●西面市場

 ロッテホテル,デパート,また、形成外科(おいおい)や個人病院が集中するクリニック通り がある西面は、日本人観光客が、最も多く集まるエリアと言えるだろう。と、「まるごと釜山」には書いてあるのだが、私には、全く面白くなかった。
 西面市場で眼鏡屋を探した。が、あまりぱっとしない。というか、何か高そう。悩んだ結果、南浦洞へ戻って買う事にした。

●南浦洞

 彼に、(一度は見つけたものの、それから二度と見つけられなかった)眼鏡屋街へ連れていってもらった。(こういう時は、彼の方向感覚は頼りになる。といっても、普通の人並みですが。)どの店に入るか迷っていたが、結局は、店の呼び込みに連られてしまう。
 フレームを決め、レンズを指定(前に作った時のカルテをみせた)した所で値段を確認すると、「50000W」と返ってきた。びっくりして、「30000W」ではなかったのか?と聞くと、
 「30000W〜 と言った。このフレームは50000W」
 と返ってくる。私は、値段交渉を再開し、「40000W」との回答をもらった所で承諾した。まだ値切れるのだろうが、もう、面倒くさい。
 「彼」は、どうしたかというと、つられて眼鏡を買っていた。私が買った事で気前をよくした眼鏡屋は、私のよりもさらに高級なフレームを付けて40000Wで交渉をまとめた。 何か悔しかった。 店員が、
 「レンズはどうしますか?検眼しますか?」
 と聞いた。彼は、
 「これに合わせて下さい」
 と、自分の眼鏡を渡した。店員はレンズを調べ出した。しばらくして、
 「えええええええーーーーーーーー」
 なにやら悲鳴が聞こえる。店員は叫ぶ。
 「このレンズ特殊です。とても、この値段じゃあ作れません。」
 彼は、「やっぱり」と苦笑いし、最終的に100000Wの料金を承諾した。
 ようやく、眼鏡の加工に入った。われわれは、サービスのジュースを飲みながら待った。私は、ふと思いつき、
 「度付きのゴーグルって無い?」
 と聞いた。店員は、引き出しから、何やら出してきた。そのゴーグルの様なものを見て、私は驚いた。 す、すごい。  実に、私の求めていた物以上の品であった。
「250000Wです。この間、プロの野球選手が買っていきました。」
 店員は自慢気に説明した。
 一度は値段に驚いたものの、商品から発する「買いたい光線」が、鋭く私を攻撃し始めた。で、気持ちが「ハイ」になっていたのだろう。値段が180000Wに落ちたころ、そこには、それを注文している自分が立っていた。そして、その向かい側には笑顔の店員いた。

 後日談 → 日本でも、よく探すと5000円位から眼鏡を作っている店があることを発見した。それらの眼鏡のの特徴は、レンズが小さいことである。最初は、単なる流行から来ていると思っていたが、どうやら違うらしい。
 まず、眼鏡用レンズの構造は、中央から端にかけて段々と厚くなっていく事を頭に入れて欲しい。つまり、レンズの小さい眼鏡は、その中央部(薄い部分)しか使わないため、通常より厚いレンズを使うことが可能なのだ。眼鏡用のレンズは、一般的に薄いほうが高級品である。つまり、安いレンズを使える。安さの秘密の一つは、此処にあると推測した。
 ともかく、韓国まで眼鏡を作りに行くメリットは、最近では、かなり少なくなってきた様だ。

 この日の夕食も、昨日の店に行った。店員は、この、おかしな二人連れ外国人を覚えていたらしく、くすくすと笑っていた。私は昨日迷ったもう一方のメニューであるチゲを頼み、彼は(昨日を反省したらしく)、チャーハンは頼まなかった。
 この日の料理も、おいしかった。しかし、昨日感動的においしかった「唐辛子の漬物」が、お通しに出てこなかった。土産に持って帰ろうと、のり巻きの入っていたパックを捨てずに持っていたのだが、無駄に終わってしまった。

 

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