勝手に自由研究

  禁断の技 アルカリ電池の再利用
(0)はじめに
 前回の「ダブラー」は、残念な結果になってしまいました。しかし、悩みながら組み上げた容量測定装置は、今回の実験にも活躍してくれたので ”モト”は、取れたと思います。
 今回のお題は、「アルカリ1次電池を充電するぞ!」。 というわけで、HPの趣旨にぴったりな内容になりました。

(1)目的
 一次電池は充電できるのか? 前回の実験中、こんな、昔からの疑問を思い出しました。
 一般に一次電池(普通の乾電池)は非可逆反応なので、充電できないとされています。また、充電時の液漏れ等の防止のため、充電を禁止する注意書きがされてたりもします。しかし、私は今までの経験で、若干は充電が出来る 事を知っていました。ただ、どの程度実用になるのかまではつかんでいませんでした。
 「バッテリー容量測定器」があるのです。折角だから、調査してみましょう。

(2)装置
 バッテリー充電器とバッテリー容量測定器
 容量測定器は、前回試作したものです。ただし、放電電流は100mAで変り有りませんが、 終止電圧は1.2Vとしました。 詳しくは → 充電池容量計にトライ!
 一般に、アルカリ電池の放電終了電圧は0.9Vとされています。しかし、デジカメ等で使い終わった電池の電圧を見ると、どれも1.2V程度でした。つまり、実際の使用器具は、0.9Vまで使ってくれないのです。また、あまり放電しすぎると、充電できなくなる可能性もあったので、少し余裕を見て1.2Vとしました。  
 充電器も作ってしまいました。これは、容量測定器ほど簡単ではありませんでした。詳しくは → まるち充電器

(3)方法
 使用済みのアルカリ電池を1.7Vまで充電し、電池容量を計測しました。
 尚、実験に使ったのは、3つとも単3電池です。(東芝,松下,写るんですから取ったもの)

(4)驚きの結果
 下のグラフをご覧下さい。凄いですね。本当に驚きました。アルカリ電池って、充電すれば7割方容量が戻るんですね。本当に一次電池なんでしょうか?
  アルカリ電池の充電

 初期容量までは戻らないにしても、必要にして十分な容量(NiCd並の容量ですね。)まで復活させることが出来ました。電池によりバラつきはありますが、数回程度の充電は現実味があると思います。というか、充電しなきゃ損の様な気がします。
 ただ、液漏が心配です。液漏れは電池だけではなく、周りの金属をも腐食させます。電池代をケチって器具の電池ボックスをダメにしてしまったなどということが無きよう、気をつけないといけませんね。

(5)あとがき
・どの電池も、良く頑張ってくれました。特に松下の電池は、途中で液漏れしながらも、上記の通りの成績です。
 「使い終わったら捨てる」なんて、本当に勿体ないですね。
・ウォーキングカセットや、デジカメの消費電流を調べて驚きました。何と、最低で200mA位流れるんですね。
 測定器を作るときに参考にした本の1冊に、「正確に計るには、もっと低い電流で計測すべき 〜  」などという一文があったので、特に疑問も持たずに100mAで試験していました。しかし、アルカリ電池なるものは、もともと大電流を必要とする機器に使われます。だから、200mA位で測定した方が、現実味ある結果になったかもしれません。
・ただでさえ液漏れしやすいアルカリ電池を、充電して使うのは大変危険です。過充電や急速充電は止めましょう。
・これは私の主観なのですが、アルカリ電池は、使い切った状態にして放っておくと液漏れし易く成るようです。これは、放電することにより、電池内部のPHが局部的に高くなり、封止材にアッタクするからだと、勝手に想像してます。だとすると、放電後長時間放置すると、充電されにくくなる可能性があるのではないでしょうか。今回の実験は、測定後に直ぐ充電しているので解りませんが、今後、気が向いたら検討してみたいと思います。
・実は、某社の黒いマンガン電池を充電してみたのですが、あまり実用的では有りませんでした。(以前、黄色い電池を充電したら、復活したような記憶もあるのだが.....)

(6)注意事項
・一次電池は充電する事を前提に設計されておりません。そのため、充電時に、破裂や液漏れ等を起こす事があります。充電してみようと思う方は、十分に注意してください。万一事故を起こされても、当局は一切関知しません。

))解説((  ーー 殆どの人に不要な解説と思います。飛ばしてお読み下さい ーー
・一次電池
 マンガン電池やアルカリ電池など、一般に使い捨てにされる電池。
・二次電池
 ニッカド電池,ニッケル水素電池,リチウムイオン電池など、充電して何度も使うことを目的とした電池。

(7)次回予告

 次は、どうしましょうか? 思案中です。

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