万能の充電器を目指す
>背景
 最近アルカリ電池の充電を始めたのですが、充電には苦労しています。なぜならアルカリ電池は非常に液漏れしやすいため、過充電せぬよう逐次電圧を見張る必要があるからです。そこで、充電条件を任意に設定できる「まるち充電器」を作ってみようと考えました。

○ 測定器を設計するぞ!
 まず仕様を決めます。
1. 充電の終了電圧を任意に変えれること。ついでに、9Vのニッカドも充電出来ること。
2. 充電電流も任意に調整できること。
3. 出来るだけ安く、簡単な回路にすること。
 てなわけで、出力電圧は10V位まで、電流は100mA位まで可変出来るようにする必要が有ります。
 で、最終的に出来たのが下の回路図です。充電池容量計と反対の動きをします。この回路に落ち着くまでの悪戦苦闘はこちらへ →方針変更編
バッテリーチャージャー 回路図
○ 回路説明 
・比較回路
 充電の終了電圧を決める基準電圧は、ツエーナーDiで作った11Vを50KのVRで分圧して作りました。(この際、K30Aを定電流Diの代わりに入れて、安定化させています。)これは、4558〔右)の+端子に入れます。次に、電池の電圧を−端子へ入れます。この二つの電圧を比較することにより、充電を制御します。つまり、電池の電圧が基準電圧より低ければ4558の出力が+になりトランジスタD608をONにし、電池に電流を流します。充電が始まり、電池電圧が基準電圧を上回ると→4558の出力が−になる→D608がOFFする。→充電停止 となります。(実際には、D608との間に遅延回路が入っています。)
・遅延回路?
 左の4558は、比較回路の出力を、ワンテンポ遅らせてD608へ伝えます。こうすることにより、充電終了を判別しやすくしたつもりです。(充電終了に近づくにつれ、充電の休止時間が長くなります。)
・定電流回路
 在庫の都合でLF357で組んであります。この回路は、2.2Ωに発生する電圧をコントロールすることにより定電流にしています。
 2.2Ωに電流が流れると、そこに電圧が発生し、LF357の+端子の電圧を低下させます。この低下する電圧は、LF357の−端子に繋がれた基準電圧と比較されます。LF357の出力はD608のベースに入り、2つの電圧を同じになるように制御します。これは、2.2Ωに生じる電圧が一定に成ることを意味しています。オームの法則よりI=V/2.2で、V=基準電圧なのですから、基準電圧を変えることにより、電流を変えることが出来るわけです。尚、基準電圧はSWDiに発生する0.7Vを、2KのVRで分圧して作りました。(アースを基準にすると、約12.8V〜13Vまで変化することになります。つまり、LF357の+端子も、この電圧の範囲で変化しているわけです。)
 初め、この回路を4558(沢山ストックしてたので)で組んだ所、全く作動しませんでした。そこで、オフセット調整も出来る741で作り直しました。すると、いきなり作動するではありませんか。741は手持ちが1ヶしかなかったのでLF357に差し替えてみましたが、問題なく作動しました。(ちなみに、オフセットは調整しておりません)この現象について、誰か教えて下さい。私には理解できません。
 ただ、この定電流回路は、±13Vの電源を使っていますが、作動領域が+12.8V 〜 +13Vという極めて上限を使っています。ひょっとして、13Vの電源で 13V付近の制御するのは「キツイ」のでしょうか?

○ 問題点等
 最終的にはこの回路でまとまりましたが、多くの問題が残されています。
・充電の終了が、今一つはっきりしません。
・9Vの電池まで使える様にしたため、充電終了電圧の設定が微妙です。

 自己採点30点位の回路ですが、何とか形に出来ほっとしています。楽勝のつもりで本制作を始たのですが、トラブルが続出。これでも数回の設計変更と作り直しをしています。 →方針変更編
 本設計を通し、「充電の制御は本当に難しい」と思い知らされました。頭で考えるのと現実とのギャップがあまりにも大きく、知識不足を実感しました。(現在使用しているTZONEのコピー品が、如何に工夫された回路であるか解りました。) 新たな制御方法を思いついたら、また挑戦してみようと思います。

 これは、T-zone Kitの回路図です。OPAMPの出力はD-FFに入り、クロックのタイミングに合わせて出力されます。連続制御すると起こる問題を、時間を区切って制御することにより解決した素晴らしい回路だと思います。これに対抗して、デジタルICを使わずに制御しようと考え本機を作ったのですが、知識不足のため玉砕したのは上記の通りです。
 尚、図中のRは充電の電流を決める抵抗で、連続可変出来るようには成っていません。
○ 完成品の写真

 
余り見せたくない外観と、更に見せたくない内部配線

○部品について
 
 今回は、余っていた±12VのSW電源を使いましたが、それを生かした設計になりませんでした。
 他の材料も、全て手持ちの関係で使われています。 電流計はラジケーターの改造品,電圧計は表示モジュールを使いました。(実は、電圧計モジュールが5V動作なので、12Vを三端子レギュレーターで降圧して使っています。)テスターで代用してもいいのですが、繋ぎ変えるのが面倒でしたから...。そうそう、470μのケミコンは、35V品を使いました。指定無き抵抗は1/4Wです。念のため。

○次回予告
 
この充電器に付ける電池ホルダーを作ってみたいと思います。気が向けば...。


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