回路設計失敗編 
>背景
 オペアンプの使い方に、シュミット回路が有ります。これを見た途端、「これを利用すれば、充電器が作れるのでは」と思いました。そして、どうせなら、充電終了電圧や充電電流も調整できるようにした「まるち充電器」を作ってみよう。などど、期待だけは膨らんでいくのでした。
シュミット回路
・Eoutが+からーになるとき
   Ein > Et+(Eout-Et)*3/(R2+R3)
・Eoutがーから+になるとき
   Ein > Et+(Eout-Et)*3/(R2+R3)
 この回路の動作について、もう少し理解が深ければ、初めから問題が生じる事に気付けたと思います。

○ 設計 1
 ±12Vの電源を使う事にしたため、−側の電源を活用した回路にしました。今回は甘く見て、回路シミュレーションもせずにいきなり組み立てました。設計に対する配慮の無さが伺えます。

 3端子レギュレーターをふんだんに使った回路です。手持ちがいっぱい有ったので、惜しげなく使ってみました。しかし、一応は動作するも、問題だらけの内容でした。 さて、何がまずかったのでしょうか?

(1) 基準電圧部の問題点
 3端子レギュレーターを使うと、簡単に安定化した電源をつくれます。しかし、0Vからの調整は出来ません。そこで、12〜22Vまでの電源を作り、-12Vを基準にしてみました。こうすれば、同電源は0〜10Vに化けるわけです。しかし...。
 -12VはSW電源の出力そのままなので、若干の変動が伴います。これを、0.01Vを気にする基準電圧に使うには、安定性に問題有りました。電源が安定するまでウォーミングアップしたとしても、充電中に設定電圧が動いていくあたりは爽快です。基準電圧の安定性について、全く配慮が無いいい例でした。そこで、私の過去の経験で最も安定であった回路に変更します。(下図参照) ツエーナーDi に定電流を加えると、本当によく安定します。 定電流Diの変りにFETを使いました。おなじみの使い方ですね。
(2) 電流制御部の問題点
 LM317と7805で構成されています。一応は作動しましたが、これはもっと大電流向きの回路のようです。10Ωもの抵抗が入る事も気になりました。(100〜200Ωの可変抵抗の在庫がなく、調整できる範囲が旨く設定できなかった事も、ボツにした理由です)本機の場合、下の回路を使ったほうが具合がいいように思いました。
 しかし、この回路を4558で組んでみると、トランジスタは常にONとなり、電流制御できません。そこで、オフセット調整も出来る741で作り直しました。すると、問題なく作動します。LF357に差し替えてみましたが、同様でした。(ちなみに、オフセットは調整しておりません)この現象について、誰か教えて下さい。私には理解できません。
 (この回路は、±13Vの電源を使っていますが、定電流回路の作動領域は+12.8V 〜 +13Vという極めて上限を使っています。ひょっとして、13Vの電源で 13V付近の制御をするのは「キツイ」のでしょうか?)
変更
(2) 電圧比較部の問題点?
 充電終了電圧辺りになると、充電電流が極端に減り、なかなか休止状態になりません。これは、トランジスタのON,OFFがはっきりしないためだと思い、ON,OFF制御をトランジスタからリレーに変えてみました。すると、リレーが激しくON,OFFを繰り返し、まるでブザーのようです。仕方なく、1000μFのコンデンサを入れて、ON OFFをゆっくりにしてもみましたが、これならトランジスタ制御の方がマシと思いました。(電流計の目盛りが低下するのは、トランジスタが目まぐるしくON,OFFするからです。電流計の針はそのスピードについていけず、その間をさまよっているのです。充電電圧の変化はもっとゆっくりしたものだと思っていたため、この現象は予想外でした。)
 結局シュミット回路をやめ、変りにOPAMPをもう一つ使った遅延回路を付けてみました。(思いつきで出来た回路ですが、エミュレーターでは正常に動作しました。)今一歩しっくりきませんが、代替案が浮かばないため、採用した次第です。

○ 設計変更

 で、以上を合わせると、こうなります。この回路の解説は、→ まるち充電器
バッテリーチャージャー 回路図
○ おまけ
・この回路を組むまでに、何回も何回も配線し直しました。蛇の目基板だからこそ出来た芸当ですが、おかげさまで(特に裏面は)人に見せられるような配線ではありません。
・ここまで設計を変更しても、及第点に達しません。正直なところ、電流調整付きの定電圧電源の方が目的に則しているかもしれませんね。技量不足を痛感しました。

○ これでどうだ!
・上記反省の上、さらに新しい回路を考えました。

 トランジスタでSCR回路を作り、基準電圧より低ければ充電、基準電圧×482/470 Vになると、充電を中止するはず。もう疲れたので回路図だけですが、何時かは実証し、(トライアンドエラーで)さらに改良した回路を載せたいと思います。

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